佐賀県書道展

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審査委員長あいさつ

審査委員長 佐賀県書道展が目指すのは、初心者からプロの書家まで、書を愛する人々が一堂に会する「書の総合展」である。
 いつも私も言っていることであるが、書は造形と線質が二つの大きな要素である。造形は古典や手本をもとに熱心に手習いをすれば、ある程度まで作り上げることが出来る。もう一つの線質は、重厚なものであれ、研ぎ澄まされたものであれ、簡単に促成することはできない。日常の手習いによっての積み重ねが必要である。臨書であれ、創作であれ、書の世界では、思うがままの線を引けることが極めて重要である。
 そして、何より大切なのは、全体のバランスである。古今の能書(のうしょ。書の巧みな人)の作品を臨書することよって、そのバランス感覚を磨くことも出来よう。臨書でも、古典を左から右に写すのではなく、絶えず自らの作品の中のバランスを見ることが必要である。定規を使ったり、コンパスを使ったりするわけではないので、自分の思うような線や形になるわけではない。したがって、臨機応変の対応が求められるのである。創作なら余計に、文字と文字の間隔、行と行の間隔、全体の余白などのバランスを考えることが、収まりの良い作品に結びつくのである。
 個々の技量の違いは経験の差などによるもので、ある意味、当然である。ただ、書の魅力は技量だけではない。一人、一人の個性が重要である。その個性というのは作家の美意識を反映している。その表現されたものが、作品の持つ格調美として、鑑賞する我々に訴えてくる。高校生も一般の方も、巧みであるだけでなく、自らの個性を反映した作品をめざし、佐賀県書道展を日ごろの成果を発表する場所にしてほしいと念願している。

審査委員長 島谷弘幸
(九州国立博物館長 本年度審査委員長)