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=春つなぐ= 小城市チーム
2015年02月16日 10時00分
「引退」レース区間賞で花
沿道の途切れることのない大声援が、長距離選手としての「終着点」へ向かう28歳を加速させた。15日に熱戦の幕を閉じた第55回県内一周駅伝。小城市の緒方孝太選手(28)=ひらまつ病院=は故郷の熊本県に戻って就職するため、陸上競技の第一線を退く。チームは3連覇を達成し、自身も区間賞を獲得。最高の形でラストレースを飾った。1面参照
緒方選手は熊本・芦北高から大学駅伝の強豪・亜細亜大に進学。合宿では月に1100キロを走り込むなど猛練習で力を付け、3年の時に箱根駅伝に初出場、8区を区間4位で走った。卒業して実業団の九電工に入ったが、思うような結果を残せず4年目からは営業の仕事に専念した。
陸上と無縁の生活を送る中、退社した同期入社の友人がアルバイトをしながら走り続け、九州一周駅伝に出場を果たしたことに刺激を受けた。「不完全燃焼で選手生活を終えてしまったから、もう一度挑戦したいと思った。悩んでいても先に進めない。とにかく行動を」と思い立ち、2013年春、知り合いの選手らが所属し、陸上に力を入れるひらまつ病院入りを決めた。県内一周駅伝は昨年初めて出場。2度の出走で区間1、2位と実力を発揮した。
今季は右足肉離れや腰痛など故障がちで、昨年11月の九州実業団駅伝は区間13位に沈んだ。「年齢的にも飛躍的な向上は望めない。長男でもあり、将来のことも考えた」と帰郷を決意。そんな緒方選手にチームは粋な「花道」を用意した。2月4日の結団式では選手宣誓を任され、最後の舞台に地元小城市の30区(小城-川上、6キロ)を用意した。同僚らの熱いエールに気持ちが高ぶり、序盤から飛ばした。走っている最中にまめができるアクシデントもあったが、4人抜きの快走を見せた。
「これで終わりかと思うとさみしい気もするが、悔いのない走りはできた」と緒方選手。小城市チームには「10連覇を目標に大会の歴史に名を刻むチームに」とエールを送る。華々しく「陸上人生」を締めくくったスピードランナーの体は、3連覇の歓喜を分かち合った仲間の手で宙を舞った。