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春つなぐ 岩永茂監督(杵島)今大会で勇退
2016年02月22日 09時55分

12年ぶりの優勝こそ逃したが、快進撃で2位を勝ち取った杵島郡。その喜びの輪の中で、チームを率いる岩永茂監督(58)は、今大会を最後に勇退する気持ちを固めた。市町村合併の影響で戦力をそがれるなど、苦しい時期を経て、“駅伝王国”復活の礎を築いた熱血指揮官。「上位と戦える形をつくって引き継げる。一つの区切りはつけた」。次の世代へたすきを渡した。
岩永さんが監督を引き受けたのは2002年。杵島郡は上位の常連だった。04年の第44回大会では“常勝”佐賀市を押さえて初優勝を果たした。しかし07年、市町村合併を契機に山内、北方の2町が「武雄市」に編入。同年の5位を最後に入賞圏内からは遠ざかっていった。
岩永さんは選手確保が困難になる中、有望な中学生の発掘や育成に努めた。戦力不足の中でいかにタイムを伸ばすか、戦略面でさまざまな工夫もした。
その努力が今大会で実を結んだ。中学時代から出場してきた片渕恵太選手(22)ら、力をつけてきた大学生が躍動。全国の舞台を踏んだ中高校生もチームを引っ張った。
若手の台頭を社会人への刺激にもつなげた。「力のある大学生が来る。お前たちの走るチャンスが減るぞ」。出走の当落線上にいた社会人ランナーを奮い立たせ、5000メートルを18分台で走っていた選手が17分を切るまでに成長させた。
大会期間中、連日、監察車から「区間賞を狙え」などと選手たちを鼓舞した岩永さん。4連覇の小城市にわずか15秒差と、優勝も射程圏内に入る争いを展開できたことに納得した。「小城市に比べ選手層の厚さはまだまだ及ばない。それでも“駅伝の町”復活に向けて確かな一歩を踏み出せた。来年への目標もできた」
最終日のゴール。岩永さんは、悔しさをにじませるアンカー吉原一徳選手(36)の肩に手を掛けた。優勝を逃し目を赤らめながらも、快進撃を演じたメンバーの労を最後までねぎらった。