佐賀新聞創刊140周年記念 北斎・広重 大浮世絵展 佐賀県立美術館 – 佐賀新聞

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江戸文化、夏も秋も佐賀彩る 7~8月開催「北斎・広重 大浮世絵展」5万人以上が堪能 佐賀県立美術館 10月7日から「売茶翁と若冲」展

2025年09月28日 16時22分
江戸文化、夏も秋も佐賀彩る 7~8月開催「北斎・広重 大浮世絵展」5万人以上が堪能 佐賀県立美術館 10月7日から「売茶翁と若冲」展
 世界に名をはせる二大浮世絵師が肩を並べた「北斎・広重 大浮世絵展」は、佐賀市の佐賀県立美術館を会場に8月末までの45日間、連日行列ができる盛況で5万人以上が鑑賞した。同館が1983年に開館して以来、ベスト10に入る入場者数となった。幅広い世代が江戸文化の魅力を再認識した。10月は、佐賀藩の支藩蓮池藩に生まれた“煎茶の祖”高遊外(こうゆうがい)売茶翁(ばいさおう)の生誕350年特別展「売茶翁と若冲(じゃくちゅう)」が同館で始まる。 県内過去最大級で、同館では30年ぶりの開催となった浮世絵展。佐賀新聞創刊140周年記念事業として7月11日から8月31日まで開催され、新型コロナウイルス禍以降の最多入場者数を更新した。過去最多は県立美術館が池田学展(2017年)の9万5千人、併設の県立博物館はボクの土木展(2018年)の6万8千人となっている。夜間の「ナイトミュージアム」も実施され、混雑や猛暑を気にせず、じっくり鑑賞できたと好評だった。 県立博物館・美術館の福井尚寿館長は浮世絵展の反響について、「一番は、圧倒的な知名度を誇る北斎の代表作があったこと。めったに見られない浪裏(なみうら)や凱風快晴を多くの人が見てみたいと思ったはず」とみる。 今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」を通じて浮世絵や版元への関心も高まっていた。来場者からは「西村屋与八などドラマで知った名前があった」「江戸の出版文化は興味深い」との感想もあった。 浮世絵展の柱は、葛飾北斎と歌川広重の236点に及ぶ作品対決。荒ぶる大波をダイナミックに表現した「神奈川沖浪裏」を含む「冨嶽三十六景」(北斎)や、江戸時代の風景を詩情豊かに描いた「東海道五拾三次之内」(広重)などの代表的シリーズが一挙に並んだ。 小ぶりながらも多彩な表現が光る浮世絵。訪れた人たちは精緻な描写や大胆な構図に驚いていた。佐賀新聞の読者投稿欄「ひろば」には「江戸時代へタイムスリップした気分」と余韻に浸る投稿も寄せられた。「写真では分からない浮世絵の技術に圧倒された」「想像の息吹が感じられる」といった声もあった。北斎と広重の自由で斬新な感性を鑑賞者は堪能した。 江戸時代の傑物の展示会が続き、特別展「売茶翁と若冲」が10月7日に開幕する。独自の道を切り開いた売茶翁と奇想の画家伊藤若冲の関連作品が約130点並び、近年の若冲の展覧会としては九州最大規模となる。国宝で鮮やかな色彩と細密な描写で知られる若冲の「動植(どうしょく)綵絵(さいえ)」(皇居三の丸尚蔵館蔵)のレプリカも展示する。2人の交流にも目を向けたい。(清川千穂)

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