<三人展を観て(7)>川崎泰史さん(美術家、鹿島市)
2018年10月27日 10時24分
手を加えるほどに、作品と作家の距離は離れていく。手数が増えるごとに人の手が働いた跡が消え、どんな人がどうやって作ったのか想像するのが難しくなるからだ。パブロ・ピカソや奈良美智などに代表されるような、手数を減らす作家とは対照的。
自分は立体作品の原型を粘土で作る。やすりなどは使わず、粘土に何カ所も指を押し当てて点の集合体を作ることで自分の指による痕跡を消し、粘土の表面を滑らかにしていく。
それは自分のコンプレックスを消す作業でもあって「三人展」の作家らも、コンプレックスをエネルギーに表現活動をする人たちなのかもしれない。
「みんなで飛行機を作って飛ばそう」とたくさんの人を巻き込む八谷さんのエネルギーに驚かされた。自分にはとてもできないことだと思う。
現代美術とは、世界共通の価値観で評価できる現在進行形の美術を取り扱うマーケット。美術史の文脈から自分の語り口を見つけ、今を生きる自分の文脈を作る。その意味で、3人の仕事は現代美術そのものだろう。







