三人展「Forward Stroke ―明日への眼差し―」佐賀県立美術館 – 佐賀新聞

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<三人展(上)>池田学さん、精緻なペン画世界

2018年09月26日 14時23分

 精緻なペン画が描き出す壮大な世界観が国内外で高い評価を受けている多久市出身の画家、池田学さん(44)。2017年の年初、佐賀市の佐賀県立美術館から始まった「池田学フィーバー」は記憶に新しい。

 佐賀では県立美術館過去最多の9万5千人(約2カ月)が来訪した。金沢展では約3カ月で15万人、東京では12日間で5万2千人が池田ワールドを体験した。「写真やサインを求められたりして、芸能人になったかのような感じだった」と熱狂を振り返る。

企画展終了後は一転、拠点とする米国のマディソンで日常を取り戻し、休養を取ってきた。多くの驚きと共感を振りまいた、大作「誕生」を生み出した3年間を静かに見つめる時間も持てた。

 制作中に親友の死、子どもの誕生、突然の大けがなど、出来事が重なった。「いろんなことがありすぎた。でも、作品を通して乗り越えたり、アイデアに変えたり、挑戦という言葉がぴったりの期間だった」

 代表作の完成には「自信につながったし、作家として成長できたかなとも思う」と、達成感と充実感を漂わせる。ただ、「あまりにも特別で濃密な期間だったので、これからの制作は頭を切り替えなくては」と冷静に自身を俯瞰(ふかん)する。

 次作へのプレッシャーは「もちろんある」。それでも、幸いなことに創作の場は米国。「ここには期待の声が届かないので、雑念を消化して次の矛先を決めることができる」。新人作家のように、わくわくしながら着々と準備を進めている。

 今回の「三人展」については「佐賀出身アーティストでのグループ展は初めてで光栄。2人から刺激をたくさんもらいたい」と楽しみにしている。

 葉山有樹さんに対しては「僕同様、精密な作風だが、器としての機能を考慮し、立体としての制約を生かしながらの絵柄に興味を引かれる」。佐賀北高校の先輩でもある八谷和彦さんには「夢を追いかける少年がそのまま大人になったような人で、尊敬している」と、3人での佐賀での邂逅(かいこう)に期待が膨らむ。

 本展には、リラックスした楽しさの中で描く動物画や、「誕生」の一部分を抜き出したスピンオフ作品を新作として出品する。特にスピンオフ作品は「『誕生』を知ってもらうことも、これからの仕事」と語る池田さんにとって重要なシリーズになりそうだ。

 3回目の佐賀公開となる「誕生」は、やはり展示の目玉になる。「人混みでほとんど見られなかった人も多いかと思う。今回は近づいて、じっくり鑑賞してもらえたら」と呼び掛ける。

 いけだ・まなぶ 1973年、多久市生まれ。佐賀北高-東京芸術大卒、同大学院修了。インクとペンを用いた緻密な絵画を描き、世界的な評価を集めている。代表作「誕生」は、米国のチェゼン美術館で3年をかけて公開制作した。

 ◇「三人展」は佐賀市の県立美術館で30日から11月18日まで(会期中無休)。観覧料は一般・大学生1200円、高校生以下、障害者手帳を持つ人と介助者1人は無料。


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