三人展「Forward Stroke ―明日への眼差し―」佐賀県立美術館 – 佐賀新聞

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寄稿「三人展に思うこと」 洋画家・金子剛さん(79)

2018年10月26日 08時00分
寄稿「三人展に思うこと」 洋画家・金子剛さん(79)
 現在佐賀県立美術館で開催されている三人展は、全く異質な3人の芸術がそれぞれの魅力を持って私たちに迫って来る。
 この三人展のような展覧会は、これまで佐賀県で開催されることは無かったし、大変興味深い内容を持っている。しかし観賞者にとって、平面的な絵画表現の池田作品は、比較的に理解しやすいが、葉山や八谷の現代アートと呼ばれる作品には少し理解しにくい面があるのではと思われる。
 出品者の3人が、そろってこの佐賀県に生まれ、40代、50代の若い作家たちであり、活動する場や環境は全く異なっていておもしろい。
 池田学は「二次元」の平面に超絶技巧と云える細密な表現で絵画をペンで描いている。葉山有樹は、自分で制作した陶器作品を「三次元」空間のインスタレーションとして、展示場の時間や環境の中で新たな意味を持たせようとしている。八谷和彦は、空間の中、機械や人間のダイナミックな運動や移動する時間を取り入れて「四次元」の世界での芸術に挑戦している。
 県立美術館の2、3、4号室でそれぞれ1人ずつ独立しての展示であり、池田の平面(二次元)、葉山の空間(三次元)、八谷の時間(四次元)による芸術の展開を見せてくれている。彼ら3人の表現技術は、想像を絶する程の努力を重ねたものであり、他の追随を許さない圧倒的な仕事ぶりである。 既成の展覧会とは異なり、新しい概念で開催されたこの3人展は、全国的に関心度が高く、この佐賀での三人展を記念して東京・銀座の蔦屋書店で、トークイベントが組まれた程である。
 そしてこの三人展には、共通するものがもう一つあると感じている。昨年の池田学展の時にも話題になったが、池田の作品にはグラフィック的な表現があり、白い紙の地肌を残して描く表現法を見せる。葉山の陶器に表現する絵も、焼物の地肌を残して、その白さを生かしている。彼らの絵には、どこか、デザイン的要素が強く感じられ、八谷のメディアアーティストとしてのデザイン力にも共通している。
 彼ら3人の作品には、純粋芸術とは少し異なる「デザイン的思考」が強く感じられるのもおもしろい。佐賀から全国へ、そして世界へと新しい芸術の発信である。

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