佐賀県書道展

ご挨拶

佐賀県書道展はおかげさまで30回の記念展を迎えました。
これもひとえに出品者の皆さまならびに関係各所のご尽力の賜物と心より感謝申し上げます。今展では特別な催しも予定しております。皆さまの出品を心よりお待ちしております。

佐賀新聞社


WEB図録
記事一覧へ

新着情報RSS新着情報

第30回記念佐賀県書道展によせて

審査委員長  佐賀の偉人として、明治書道界の隆盛に寄与した中林梧竹・副島種臣(蒼海)の顕彰と、佐賀における書道文化の向上と発展を理念に掲げ、平成5年(1993/癸酉)に創設された本展が、この度30回を迎えます。

 日本の書は常に中国の書を根底として発展してきましたが、近代書の新たな展開は清国の影響を受けた明治書壇において著しく、日本書道史上のルネサンスとして注目されています。この時代の書壇を牽引したのが、梧竹であり種臣でした。彼らは清朝書学をそれぞれの方法論で摂取し、自己の作品に反映させます。こうした動向が明治後期には大きな流れとなって結実し、近代書を確立するに至りました。
 日本の近代書は、明治6年(1873/癸酉)に特命全権大使に任ぜられた種臣の清国赴任によって幕が上がりました。彼は皇帝(同治帝)と単独謁見を行ない、高官と詩文の応酬をして、その博学ぶりが評価されます。3年後には清国を2年にわたって漫遊し、名跡を訪ねては文人墨客と交わり、清朝書学の最新モードを肌で感じます。帰国後は清国で受けた刺激を糧に、創造性豊かな書風で精力的に作品を制作しました。五書体はもちろんのこと、楷書、行書、草書に篆意や隷意をおりまぜた混交体など、多種多様な表現が可能であったのも、清国に息づく豊かな文化を深く理解したからでしょう。
 種臣の書のなによりの魅力は、佐賀に生まれて世界に眼差しを向けた、明治人としての美意識が働いていることです。激動の幕末維新を生きた気概あふれる天衣無縫な書は、種臣の努力と工夫の賜物だと思います。
 種臣が初めて清国に渡ってから120年後、佐賀において本展が産声を上げました。而立を迎えた節目の年にあたる今回、激動のコロナ時代の中で作品制作に励んでおられる皆様の努力と工夫の成果を、とても楽しみにしております。

審査委員長 鍋島稲子
(台東区立書道博物館主任研究員 本年度審査委員長)