佐賀県書道展

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大賞・三藤遊海さん「書道も手放さないように」

2019年05月29日 18時33分
大賞・三藤遊海さん「書道も手放さないように」

 体力に任せて徹夜で硯(すずり)に向かった季節は過ぎ、母の介護に追われながらも「自分の体も大事に、書道も手放さないように」と書き続けての大賞。母は若い頃から、何も言わずに子育てをフォローし、書を追求する自分を見守ってくれた。

 熊本女子大(現熊本県立大)在学中、調和体と出合った。「専門知識がなくても、誰でも読める書」として心ひかれた。

 師匠・徳田翠雨(すいう)さん(玉名市)の「調和体を志すなら臨書に取り組むように」という指導で、臨書にも親しんだ。美が詰まった古典は、何度書いても発見にあふれている。そこから調和体に戻ると、改めて調和体という「新しい書の形」に魅力を感じる。

 詩人の伊藤比呂美さんが「苦海浄土」で知られる石牟礼道子さんについて書いた文章に、宮沢賢治の詩「春と修羅」が引用されていた。「このからだそらのみぢんにちらばれ」の一節に、介護を通して生と死に思いを巡らせていた三藤さんの心が震え、作品にしたいと思った。

 これまでに日展で入選3回、熊日書道展で特選を5回受けた。県書道展への挑戦は8度目で、一昨年と昨年は準大賞。初めての大賞に「『やっていいんだ』という自信をもらった。まだ書を続けられそう」と笑顔を見せる。


 

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