2023年02月09日 18時00分
佐賀市の県立美術館で開催中の竹久夢二展(佐賀新聞社主催)を訪れた女性が、所蔵していた大正初期の貴重な夢二デザイン本を、展覧会を企画したギャラリー港屋(東京都)に寄贈した。女性の母親が幼少時に買ってもらい、現在は市場にもほとんど出回っていない。港屋は「思い出の品を生かしてほしいとお寄せくださった。今後の展覧会でお披露目したい」としている。 持ち込まれた本はカバーや表紙、裏表紙がなかったため、東京に運んで鑑定した。大正3年に岡村書店が発行した『夢二繪手本(ゆめじえでほん)』で、モノクロのA5判、200ページ。子ども向けのデザイン本で、クマやトカゲ、ウサギ、星、お日さまなどが描かれている。夢二は美人画で一世を風靡(ふうび)し、大正ロマンを代表する詩人画家として名をはせたが、子ども向けの挿絵にも意欲的だった。 夢二作品を収集している港屋は、夢二が手掛けた本を300冊所有するが、その中に『夢二繪手本』はなく「これまで市場に出てこなかった」という。 会期中、土日に作品を解説している港屋の大平直輝会長の元には、夢二が手掛けたセノオ楽譜や本などが相次いで持ち込まれた。大平会長は「他の会場ではこのように持ち寄られることはなく、佐賀の文化レベルの高さを感じる」と話している。(福本真理) ▼12日まで。開場時間は午前9時半~午後6時(最終入場は午後5時半まで)。