2023年03月22日 09時35分
現在、新春特別展「竹久夢二展」(佐賀新聞社主催)が佐賀県立美術館(佐賀市)で開催中。5日には来場者数1万人を突破し、大盛況です。1月8日には特別イベント「女優・緒川たまきさんのトークショー」が行われ、私は司会として携わった。緒川さんと、竹久夢二研究家の安達敏昭さんもご登壇。マイクを通さずお話を始めたり、勢いよくマイクを落としたりとチャーミングな場面も多々あったが、隣に座っていた緒川さんがその度に温かくフォロー。 安達さんによると夢二も佐賀とのつながりがあるようで、なんと自分の作品に助言をもらおうと訪ねたのが佐賀県出身の画家・岡田三郎助だった。岡田は夢二に独学で絵を学ぶよう諭し、そこから自身の唯一無二の独創的な作風をつくり上げていったのだという。 実は、緒川さんは大の夢二ファン。「たまき」は、夢二の妻であり、そして夢二の小説にも登場する緒川さんと似て手足が大きめであったといわれる「たまき」からきている。そんな緒川さんの好きな作品は「姉と弟」。夢二の作品にしては珍しく、少年の絵が描かれている。 夢二の絵は「形をキメてただ美しい」ではなく、「日常の中のふとした瞬間の美しさ」を表現していると緒川さん。生活する流れの中、そのふとした一瞬を切り取り、手や足の動きで伝えてくる。緒川さんの身動きや言葉一つ一つを見て、その美しさが夢二の作品の女性たちの美しさと重なるところがあると、勝手ながら私は見とれていた。 そして、夢二の作品に出てくる女性たちはどこかはかなげで寂しげで切なげで。夢二がいうように、その奥にこそ真の美しさを感じる。 また、夢二の作品を見ていると、「夢二」「夢生」「夢路」と何種類かの名前の書き方がある。デビューは「夢二」だったのだが、大正末頃からは再生の願いを込め「夢生」とした。それからは長年の夢であった欧米への旅に出る夢二だが、「夢路」のように時々遊び心で変えることもあったとか。作品に書かれた名前の書き方でどの時代に描かれたものなのかをみるのも、作品を楽しむワンポイントです♪ 展示会には思わず手に取りたくなるかわいいグッズも数多く販売中で、夢二は以前から身近に作品を置いてほしい楽しんでほしいと、しばしば小物も製作し、この時代もなおその思いが生きている。緒川さんも夢二は「その時代の人と遊んでいるよう」とにっこり笑顔を見せた。 緒川さんの夢は「たんぽぽの綿毛のように真っ白な頭になって、転んで、そのまま亡くなる可愛らしいおばちゃんになること」。木漏れ日が心地よく、それでいて風が優しく頬をなでる。そんな日に穏やかにゆらりと咲いている、たんぽぽのような方でした。 そんな緒川さんが「もっと見たい~!」と目を輝かせている夢二展は今週末12日まで。九州初上陸の作品も多数。お見逃しなく!